生命科学初学者(学士編入試験合格までの半年間のみ学習)の筆者が、初学者ならではの感覚で、生命科学において知っておくと便利で得する表現を紹介します。
今回は、「合目的的」(ごうもくてきてき)です。
なんで、2回、的が続いてんねん!誤植ちゃうか!と最初は思いました。しかし、ちゃんとした正規の言葉です。生命科学以外でも、そこそこ出会う言葉かもしれませんね。
この言葉の意味は、「ある物事が、一定の目的にかなっているさま」(by goo辞書)のようです。
この言葉の構造は、「合理的」と似ていると思います。合理的は、「ある物事が、理にかなっている」という意味だと思いますが、この理の部分を目的に変えると合目的的になりますね。意味も理を目的に変えたものになります。
さて、この言葉が生命科学の問題とどう関係するかです。
問題文では、そんなに登場してきません。
しかし、記述式問題の解答例では頻繁に見かけました。
例えば、こんな感じです。
<問題>
シャペロン(ヒートショックプロテイン)が熱ショックで誘導される意義を述べよ。
<正答例>
「シャペロン(ヒートショックプロテイン)が熱ショックで誘導されることは、熱で変性したタンパク質の再フォールでディングを行うために、合目的的な機構になっている。」
<誤答例>」
熱で変性したタンパク質の再フォールでディングを行うために、シャペロン(ヒートショックプロテイン)を誘導している。
※このように、神様やゲームマスターのような存在が、ものごとを操り進めているような記述(目的論的記述)はアウトのようです。
ここからは筆者の意見になりますが、「ダーウィンの進化論から考えると、生命体の色々な機構がある目的に対して、(ある程度)合目的的になっているというのは、現代生命科学の世界ではオーソライズされており、答案で記述しても問題ない」ということと思います。それゆえ、正答例では、合目的的という表現が使われています。
一方、「神様やゲームマスターのような存在がいて、それがある目的を達成するために、機構を操っているという書き方は、ダーウィンの進化論の考え方とは異なる考え方になり、それはオーソライズされていないし、答案で書いたら間違いとされる」ということだと思います。そのため、誤答例はダメになってしまうということと思っています。
このタイプの問題は、学士編入試験の生命科学の問題で、よく見かけました。解答例で合目的的という言葉が用いられているのも、よく見かました。
合目的的という言葉を知っていれば、コンパクトに記述でき、字数制限がある問題や、急いでいるときに有効です。
生命科学の記述問題を対策している方が覚えておくと得する表現だと思います。
PS.
生命科学、特に記述式問題を解いていて思ったのは、生命科学には国語力がある程度あった方が、アドバンテージがあるなぁということです。
私は、大学受験の際は物理・化学選択で、この2つではそんなに国語力が必要になると思ったことはありませんでした。むしろ数学力が必要になることが多かったです。
一方、生命科学は、数学力が必要になることは、物理・化学に比べて少ないですが、国語力を要する気がします。
私は国語に苦手意識がありましたが、生命科学の問題を解く上では、言葉や表現の意味や使い方をなるべく正確に理解することが、他の受験者と差をつけるポイントの1つになると思い、わりと重点的に取り組んでいました。